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縁ショップ5 生産者インタビュー#03飯田のお菓子・はと錦

素材に恵まれた南信州から生まれる菓子作り

はと錦 原兄弟
第3回の生産者インタビューは、創業130余年の信州・飯田の菓子処「はと錦」です。風の旅行社代表・原の生家でもあります。5代目社長の原 隆澄(はら・たかすみ)さんに、お菓子作りのこだわりなどについて伺いました。(聞き手:中坪聴子)

< 「はと錦」の商品ページはこちら >

はと錦名前の由来

長野県飯田市に明治25年創業されたと伺いましたが「はと錦」の名前の由来を教えてください。

原隆澄さん明治25年(1892年)に、創業者である私の4代前の原友市じいさんが、ここから20kmほど離れた清内路(せいないじ)村から、現在の飯田市中村に出てきて、清内路村のたばこを刻んで売りながら菓子を売る商売を始めました。専売制ができて(明治31年)、たばこの製造販売ができなくなったので、菓子を販売だけじゃなくて製造も始めました。ですから昔から「たばこ屋」という屋号で呼ばれていたんです。
私が東京での修業を終えて、親父が餅饅頭の製造販売をしていた中村の家に戻って洋菓子も始めた1973年。そのときに「はと錦」命名しました。清内路村から中村に出る道を鳩打線といいますが、その線上にある鳩打峠を越えて商売を始め、故郷に錦を飾ろうとした友市じいさんの思いを込め、それを引き継ごうと思ったのです。

原優二今は「はと錦」ってよばれているけど、私が、子供のころは方々で「たばこ屋の息子か」なんてよく言われました。菓子屋なのに変だなあと子供心に思っていましたよ。

原隆澄さん専売公社ができてなければ、今もたばこ屋だね。

原優二たばこ屋じゃ、今は食べていけないなあ。

はと錦 外観

はと錦 外観。和洋菓子とも、常に多くの商品を取り揃えている

お菓子作りのこだわり

お菓子作りで大事にされていることやこだわりを教えてください。

原隆澄さんできるだけ地元のフルーツ等を利用して地産地消で作ることを大事にしています。飯田はバナナとみかん以外は全部できるんです。ちょうどフルーツ栽培の南限と北限に位置するので、フルーツは、比較的なんでもあるんです。

昔からフルーツ栽培が盛んなところなんですね。

原隆澄さんそうです。お店をみてもらったらわかると思うんですが、地元のフルーツを使って作っていますので、お菓子の種類も多いんです。

どれくらいの種類があるのですか?

原隆澄さんちゃんと数えたことはないのですが、300種類ぐらいありますね。地元だと色々な人との関係ができるので、農家さんからこれで作ってくださいというような話があるんです。ただ、これっていう特徴のあるフルーツがないんですよね。
飯田は干し柿が有名ですが、干し柿はお菓子にするのは難しいんですよね。干した柿をお菓子に加工すると「渋」が戻ってしまうのですよ。

干して甘くしているのですか?

原隆澄さんそうなんです。干すことで甘味が増すので、それをお菓子にすると、水分があるので「渋」が戻ってしまうので、難しいですね。

はと錦
はと錦
はと錦

お菓子作りの苦労

縁shop5で販売している商品では「まろんやか」が人気なのですが、作る際の苦労などがあればお聞かせください。

原隆澄さん「まろんやか」は、国産の生栗を加工し、卵・バター・生クリームを練り込んだ栗きんとん仕立てにして焼いています。「焼き栗きんとん」ですね。国産の栗をそのまま使うので価格的なことが大変ですね。こちらでは和菓子で栗きんとんを作るので、その栗きんとんを使ってます。

名前も素敵ですよね。柔らかい感じが伝わります。パッケージやお菓子のデザインは原隆澄社長が考えてらっしゃるのですか?

原隆澄さん名前は企画会社が考えてくれた名前なんです。以前は色々なことを自分一人でやってましたが、今はみんなで相談してやってます。最近「まろ〜んやか」のスイートポテト版を通販で始めたのですが、注文の量などもみんなで相談しながら進めています。クリスマスの時期だと、和菓子のほうは手がすいているので、洋菓子のほうにきてもらい、協力しながらやってます。11月は毎週10,000個ぐらいスイートポテトの発注があって大変でした。

みなさんで協力しながらの作業なんですね。

原隆澄さん手作りで作っているので時間が足りないですね。旅行会社はどうやって時間を作っているんですか?

私たちも時間が足りないです。

原隆澄さん労働時間の範囲が厳しいので、機械化していくのが一番いいんですけどね。

原優二洋菓子は、手作業になるよね。

原隆澄さん最近は包装なども機械化もしています。昔は10人くらいで包装していましたが、今は2人ですね。

はと錦 製造風景

縁shop5での販売について

2020年の6月に風の旅行社からはと錦のお菓子を販売させて欲しいと依頼があった時はどう思われましたか?

原隆澄さん旅行会社も大変なんだなと思いました。

実はお菓子を売ることになって、風の社員が一番びっくりしていたんです。

原優二最初はそんなに売れないと思ってるから、軽い気持ちではじめたら、売れたのでびっくりしたよね?

中坪:はと錦さんのお菓子販売は、旅行の仕事ができない中、お客様とつながりを持つことのできる仕事です。新しいきんつばの販売もお願いしたいので、今後とも宜しくお願いします。本日は、お忙しい中ありがとうございました。

はと錦 ひとくち殿様きんつば

はと錦×風の旅行社で考案!
ひとくち殿様きんつば〜 試食編 〜

原 隆澄さんが心を込めて製造している和洋菓子の中で、とりわけ大小判を押している商品が「殿様きんつば」です。
ぜひ縁shop5で販売させていただこうと、試食会を行いました。

〜 まず和菓子の工場を見学 〜

原隆澄さんあんこを作る機械は、家が立つくらいの金額がするんですよ。

そうなんですね。和菓子はいつごろから機械化しているのですか?

原隆澄さんもともとうちは和菓子屋で、私の代で洋菓子屋にに変わり、1988年に現在の鼎一色へ移転した時に和菓子と洋菓子の両方を始めました。その時には機械をいれないと難しくなっていましたね。時代が完全に変わりました。

機械化すると、たくさん作れますね。

原隆澄さん2000個〜3000個できますね。きんつばは、小豆を煮て寒天を入れずに作っています。寒天をいれると、美味しくなくなるんですよ。最近はこし餡はあんまり売れなくて、粒あんが主流ですね。

〜 殿様きんつばを試食 〜

原隆澄さんきんつばは小豆の味を出すようにしているんです。

原優二あんこが全面にでた味だな。

原隆澄さんこれは寒天が入るとおいしくない。

中坪:(一口食べて)美味しい!

原隆澄さんこれは昔、100グラムあったんです。

原優二あれは大きいと思っていた。

原隆澄さん少し小さくしたほうがいいですね。

原優二これくらいの大きさだったらいけるでしょ。まだ大きいかな?

中坪:もうちょっと小さいほうが食べやすいです。

原隆澄さんこれは70gくらいあります。普通お菓子って45〜50gぐらいなのが普通ですね。

中坪:女性だと70gより、もう少し小さいほうがいいです。カロリーも気になりますし。

小塩:そのほうが罪悪感がないです。あんこは甘すぎず、小豆のお豆の味がします。あっさりしていますね。

はと錦 ひとくち殿様きんつば

原隆澄さん寒天がはいっていると、どうしてもガリガリ感がでるね。

中坪:ちょっと口当たりが、気になりますよね。

原優二これは日持ちするの?

原隆澄さん脱酸素剤をいれると日持ちがしますよ。

原優二1か月くらい?

原隆澄さんいやいや、そこまでもたないね。

小塩:冷凍はできないのですか?

原隆澄さん冷凍できますよ。

中坪:冷凍のまま販売できるといいですね。冷凍で1か月日持ちするとか。

原隆澄さん冷凍してクール便で送るのもありだな。もともとコンビニのお菓子は冷凍だからね。

原優二小さくする予定はあるの?

原隆澄さん小さくして、脱酸素剤を入れて賞味期限を40日くらい持つようにする予定。

中坪:40日持つなら冷凍でなくて大丈夫ですね。大きさも、もう少し小さいほうがいいです。

原優二小さいほうがいい?

中坪:はい、もう少しだけ小さいほうがいいです。例えば、家で家族と食べるとなると半分に切って食べるけど、一人で食べるとなると70gは少し大きいです。ご飯のあとに食べきれないです。

小塩:きんつばって正方形が多いですけど、このように丸っぽいのがいいですね。

原隆澄さん正方形のきんつばは、寒天を使って作っているから、寒天をいれて型に入れるんですよ。固まったら切るんですよ。

原優二なるほど、切るのか。

小塩:型で作っているから四角なんですね。

原隆澄さんこれは丸めて焼いて作っているのでこういう形になるんです。きんつばって漢字では金鍔なので、日本刀のつばのように円く平らに形を整えたものが、正解なんですよ。

中坪:じゃあ、この形は正解ですね。

・・・こうして2022年2月より、縁shop5特注品として、ひとくちサイズ(50g)の殿様きんつばを製造していただくことになりました。ちょっと甘いものを口にしたいときや、お食事後のお茶のお供に。優しい小豆の風味をお楽しみください。

はと錦 ひとくち殿様きんつば